「ナイルのエンジニア」であることに誇りを。全体最適を牽引するPMOが目指す組織
どの会社も最初は小さな点から始まり、少しずつ点が連なって線になって、やがて大きな面を作ります。すでに面が完成された大企業で働き、起業してみずから点を打つところまで経験した染野奈緒にとって、「線が書かれていく過程」は未知の領域。
トップの価値観、倫理観がそのまま企業カラーに反映されることをそれまでの経験で実感していた染野は、ナイルのミッション「幸せを、後世に。」に強く惹かれ、このミッションのもとで会社がどのような線を書いていくのかを見たかったと話します。
事業VPoEの右腕としてプロジェクトをとりまとめつつ、エンジニアが誇りをもって働ける組織づくりに取り組む染野に話を聞きました。
自動車産業DX事業部 マネージャー
染野奈緒(そめの なお)
新卒でシステム会社にSEとして入社。業務システム開発の上流から下流工程までを経験した後、アクセンチュア株式会社に転職し、金融部門にて大規模システムの導入に携わる。その後、ITベンチャーの起業を経験し、一部上場の三桜工業に入社。会計監査や内部統制を経験した後、ナイル株式会社に転職。PMO兼エンジニアとして自動車産業DX事業部に所属。
目次
システムエンジニアから内部監査まで幅広く経験
――まずは、染野さんのこれまでのキャリアを教えてください。
新卒でシステム開発会社に入社し、全国に店舗を展開するクライアント先に常駐する形でシステムエンジニアとして3年ほど働きました。
システムの開発や保守運用だけではなく、「キーボードにジュースをこぼしたがどうすればいいか」「プリンターが詰まって動かない」といった日常的で些末なトラブルの対応まで、パソコンがらみの困り事は全部引き受けていましたね。
ユーザーサポートも兼ねていたので、エンジニアの仕事と兼任で全国の店舗からの電話にも対応していました(笑)。
その後、2年ほどフリーで働いてから、ふたたび就職することにしたんです。規模が大きくておもしろい仕事ができそうな会社だったので、アクセンチュアに転職しました。
アクセンチュアは、誰もが同じように質の高い仕事をしているので、そういった「結果を出し続けるための仕組み」を学びたい気持ちも強かったですね。
――アクセンチュアではどんな仕事をしていたのですか。
システムエンジニアとして入社したんですが、経営コンサルタントや金融コンサルタントといっしょに働く中で「コンサル目線」を求められるようになって、少しずつシステムコンサルタントへとシフトしていきました。
大半の期間は金融業界のお客様先に常駐し、主にリスク管理システムのパッケージ導入や周辺システムの開発に関わっていました。
リスク管理システムは、金融商品を取り扱う部門の業務支援から、さまざまな金融商品のリスク計算やシミュレーションまで幅広くカバーするため、リスクテイクをする金融機関にとって非常に重要なデータを取り扱います。
また、一言に金融商品といっても、形のある物からない物までさまざまなので、パッケージシステムとはいえカスタマイズが必要な場面も多くありました。余談ですが、人生で初めて貴金属の値動きを気にした時期でもありましたね。
アクセンチュアでは8年ほど勤務して当初の目標を達成したので、新しいチャレンジとして一度起業して、その後に前職の三桜工業に入社しています。
――三桜工業での仕事内容についても教えていただけますか。
三桜工業は、19ヵ国82拠点(2022年9月7日現在)を展開する東証PRIME市場の自動車部品メーカー(在籍当時は一部上場)。自動車の重要保安部品と呼ばれる物を作っている会社です。元々自動車に興味があったのと、それまでいわゆるホワイトカラーの経験しかなかったので、工場を持つ会社の内側を知りたいと思って入社を決めました。
最初は社内のシステム開発のポジションで入社したんですが、業務監査室から相談を受けたのがきっかけでIT統制に関わり、最終的には業務監査室で内部監査に携わることになったんです。
図らずも得た経験でしたが、規模の大きい会社の全体像を把握できたことと、監査の視点から会社に潜むリスクを知ることができたのは大きな財産だと思っています。
会社が成長する様子を、内側から見てみたい
――前職から転職を考えた理由は何だったのでしょう。
大きく2つあって、1つはキャリアをIT領域に戻したかったことです。三桜工業で得た学びを活かしてベンチャーでチャレンジしたいと思いました。
もう1つは、会社が大きくなっていくフェーズに関わりたいと思ったんです。
組織規模の大きな会社を2社経験する中で、企業文化や、全社に共通する価値観・倫理観などがどうやって形成されていくのかを知りたいと思うようになりました。
例えばアクセンチュアの場合、行動指針である6つの「コア・バリュー」が全社員に浸透していて、みんなが同じ温度感でチームとして仕事にコミットしていく感覚があったんです。
一方、三桜工業は多拠点で重要保安部品を製造しているので、規律が重んじられる従来型の日本企業で、比較的序列がはっきりしている組織でした。
どちらが良いという話ではなくて、そうした企業ごとの体制や考え方がどのように作られていくのかを、成長途上の企業に身を置いて体感してみたいと思ったのがひとつのきっかけです。
起業したときは、挙げればキリがないほど勉強不足で、多くの方に迷惑をかけました。会社として無事でも、悲しませてしまった人、裏切ってしまった人がいます。なので、今度こそ仲間を助けたいし、仲間の成功の力になりたい。そのために自分も学び、組織と共に成長していきたいと思ったんです。
――最終的にナイルに転職を決めた理由を教えてください。
組織の体質が作られていく過程で、ミッションやバリューの存在が従業員の行動に与える影響が大きいことはアクセンチュアで強く感じていました。なので、せっかくなら私自身の心にヒットするミッションを掲げている企業が良いなと漠然と思っていたんです。
ナイルの「幸せを、後世に。」は、仕事の価値は誰かを幸せにすることにあるという私の信条にぴったりでした。
面接でたくさんナイルの方に会いましたが、全員からもれなくポジティブで明るいオーラを感じたことも後押しになりましたね。
コア技術を確立し、若手がプライドを持って働けるエンジニア組織に
――ナイルでは、どんな仕事を担当していますか?
「おトクにマイカー 定額カルモくん」を提供する自動車産業DX事業部で、バックエンド開発や業務オペレーション設計をメインで担当しています。日常のタスクとしては、オペレーション周りのトラブル対応やお問い合わせ対応が多いですね。
加えて、PMOとして業務プロセス改善や効率化、内部統制強化などに取り組み、事業VPoEの長妻(和佳子)さんの右腕になれるよう努力しています。
参考:全員が主役になる組織を目指す!執行役員として見据えるこれからのビジョン
――入社してみて、良かったと思うのはどんなところですか。
ポジティブで学習意欲が高い人が多くて、みんなが事業に対して本気なところですね。
個人的には、忙しい中でも毎週1時間、勉強のための時間をとれていることにも感謝しています。自動車産業DX事業部ではAWSを使っていますが、私はAWSの経験があまりなかったので、プロジェクトを円滑に進めるためには技術をキャッチアップしなくてはなりません。
そこで、エンジニアに時間をとってもらって、今ある技術課題と改善案を検討する時間を設けました。ペアプログラミング的なことを通じて技術解像度を上げていく取り組みです。
――PMOが技術をわからないままにせず、エンジニアと協力しながら知見を深めているのはとても健全ですね。では、逆にギャップを感じている点があれば教えてください。
転職前に期待していたことは嘘偽りなくすべて叶えられているんです。
こういうメディアに出るときって、何か1つか2つはネガティブなことを言わないと「ウソでしょ」って言われそうなんですけど、考えてもなかなか出てこないくらい今の環境に満足しています。
ただ、課題に感じていることはあります。
これまでデリバリー優先でやってきた分、事業のスピード感にエンジニアの人数がまだまだ追い付いていません。これから事業をさらに大きくするには圧倒的にエンジニアの人数が足りないので、人員の増強は必要ですね。
また同時に、「ナイルのエンジニアであることの価値」を実感できる環境を作る必要があると思います。既存機能の改修や保守運用対応、ビジネスサイドからの要望をヒアリングして対応するだけの仕事だと、エンジニアのモチベーションは上がりません。
エンジニア自身のスキルアップにもつながるチャレンジやストレッチも必要。そのためには、ナイルのエンジニアのミッションを明確にして、エンジニアが誇りを持って働けるようにしていきたいです。
――まだまだやることがたくさんありますね!
やりたいこと、やるべきことは細かいことを含めるといろいろあるのですが、「ナイルのエンジニア」であることに価値が生まれるようにしたい。突き詰めると、そこに帰結する気がしています。
まずは、事業部全体を俯瞰し、全体最適を図っていくことが私の任務。若手メンバーが何に苦しんでいるのかを理解してあげられるように、技術的なキャッチアップをしっかりして、同じ目線で現場のエンジニアと話せるPMOでいたいですね。
※本記事は2022年9月8日に公開しており、記載情報は現在と異なる場合がございます。