1年でオウンドメディアの自然検索流入1,000%増、アシストCV10倍。社内に知見と経験があることのメリット
2018年に新規事業としてスタートした「おトクにマイカー 定額カルモくん」のオウンドメディア「カルモマガジン」が1年間でトラフィック1,000%増、アシストCV10倍という急成長を記録。その成長を支えたモビリティサービス事業部 カルモマガジン編集局長のポキール伊藤、デジタルマーケティング事業部 コンサルティングユニットリーダー日下の二人に成功の理由を聞いてみました。
モビリティサービス事業部 コンテンツユニットリーダー 兼 広報ユニットリーダー
伊藤 真二(ポキール伊藤)(写真右)
情報・報道番組を中心に放送作家やディレクターとして15年ほど活動し、その後、事業会社にてWebサイトの制作責任者として運用を行う。17年にナイルのデジタルマーケティング事業部コンテンツユニットに編集者としてジョイン。19年3月より現職。趣味はお笑い芸人さんとネタを作ること。
ナイル株式会社
デジタルマーケティング事業部 コンサルティングユニット リーダー
日下 俊(くさか しゅん)(写真左)
新卒で情報通信系の大手営業会社へ入社。営業成績全国1位を獲得したのちに第二新卒としてナイルにジョイン。SEO、アクセス解析を得意とし、昨年からコンサルティングユニットのユニットリーダーとしてチームを牽引する。
目次
施策を打つ直前で担当者交代。はじめは「このままだと目標達成は無理だ」と思った
――二人がカルモマガジンに関わったのはいつ頃からですか?
ポキール伊藤(以下、ポキ):ある日、モビリティサービス事業部(以下、MBS事業部)の事業責任者である代表に「来週の月曜日、MTGどうですか?」と言われて、「何もわからないけど、その案件やります!」ってノリで返信したら、MTGで「実は異動の相談です。やります!っていうメッセージのエビデンスありますから(笑)」と言われて異動が決まりました(笑)。そして、2019年3月付けでデジタルマーケティング事業部(以下、DGM事業部)からMBS事業部に異動しました。
日下:かなり急だったんで、最初、異動の話を聞いたときはみんないつものポキさんの冗談なのかと思いましたよ(笑)。
僕は2019年の7月中旬くらいからプロジェクトにジョインしたんですが、もともとは別のコンサルメンバーが担当していたんです。ナイルのオウンドメディアに関わるのは初めてだったんですが、新規事業に関われるいい機会だと思って前担当が交代するタイミングで立候補しました。
――コンサルの引き継ぎ後はスムーズに進められたんですか?
ポキ:前任の担当がかなりコミットしてくれていたので、最初に日下先生の対応を見て「コンサルには困ったときしか相談できないのか?」「このクールすぎる関わり方ではやばい」と超絶不安になりました。だから、「そういう感じなんですか?熱がないと困るんですけど」って言いました。
日下:前任から軽い感じで引き継ぎがあって、「質問が来たときにだけ対応する」という認識だったんで最初はびっくりしました。でも、ポキさんから「もっと頑張りたいんです!」と言われて、そこで初めて数値目標も知って、すぐに仕切り直して施策を立て始めました。
――お互いの認識に大きな差があったんですね。
ポキ:そうしたら、翌日すぐに大量の資料と戦略案が届いて。怖!ってなりました(笑)。しかも、表面的に出ていない熱さが資料からバンバン伝わってきて、ロボットみたいに感情を持たない男だと思ってたので、温かい血液が流れてることを認識して安心しました。すぐに、提案してもらったことをどんどん実施していったら、「楽しい」と言ってくれて。最初がロボットだっただけに嬉しかったですね。
日下:ロボットじゃないですよ(笑)。ただ、こんなに一生懸命やっている人と仕事ができるのは、モチベーションも上がるし、素直に「ポキさん、すごい!」と思いました。でも、引き継ぎ直後は戦略を見直すなどで仕掛りが遅くなったり、ひとつの目標を達成するための施策が他の目標の足を引っ張ったりと、4半期目標まで数値を伸ばせなかったんですよね。
ポキ:そうでしたね。あのときは思ったように数値を伸ばせていなくて、代表に怒られる覚悟で謝罪と今後の展開を話したら「信じてますから」「引き続きお願いします」って言われて。そんな言葉、震えちゃいますよね(笑)。これは何がなんでも達成しないと!と思いました。そしたら、次の10月で爆上がりしたんです。
――どうして急にうまく回るようになったんですか?
ポキ:SEOだけでなく、アクセス解析や広告などの施策をはじめ、日下先生がいろんな方面でサポートをしてくれたおかげで、いろいろとスムーズに動くようになったのが大きかったですね。
日下:通常のコンサルだと、提案した全施策のうち3割くらいを実施してもらえればいい方なんですけど、ポキさんは「全部やる!」と、120%でやってくれたんです。「本当に?」と思いましたよ(笑)。
でも、担当者にやる気があって実行してくれるのは自分のモチベーションにもつながるし、「こんなに頑張っている人が評価されないのはおかしい」って思っていたので、全社総会でポキさんが事業部MVPをとったときはめちゃくちゃ嬉しかったですね。
1年間で自然検索流入1,000%増・アシストCV10倍
ポキ:前部署で自分がコンテンツ制作を担当していた当時は、納品ベースでのクライアントワークがメインだったので、成功するか分からない施策を打ったり、納品したものを大きくピボットするといったことが関わり方的に簡単ではなかったんですよ。でも、自社サービスなので自分の裁量のなかでコントロールしやすいのと、代表が全部任せてくれたことで思いつく限りの施策が試せました。
日下: やれることは全部やるという前提で、「やってから考えよう!」って感じでしたよね。
ポキ:SEOはアクセスを増やすだけじゃだめなので、もちろん最大限、流入施策を打った上で、ツールを使ったりアナリストさんに相談したりして、アクセスの先にあるユーザーの態度変容をもとに記事を最適化していきました。もちろん、やってみて「おっとっと…」ってなることもありましたけど。
日下:僕の経験上、これだけ大量の施策のPDCAを同時並行で進めるのは初めての試みだったんですけど、ポキさんの「ダメならやめればいい」っていうスタンスのおかげもあって、自信を持ってできましたね。
――実際に、施策を打ってみた上でやめたことってなんですか?
ポキ:最初は、カルモマガジンからサービスサイトへの遷移数を追うことを目標にしていて、記事を見始めた20秒後にサービスサイトに誘導するポップアップを出すっていうのを試してみたら、大失敗したのですぐにやめました(笑)。
日下:たしかに遷移数は伸びましたよね。でも、そこからサービスの成約には繋がらなかった。僕らの中では「うざいバナー」って呼んでました(笑)。
ポキ:遷移数だけを追うと、本来のメディアのあり方と変わってしまうんですよ。然るべきタイミングで然るべきコンテンツを提案する、「メディアはコンシェルジュなんだよ」って名言にしようとして何回も言ってましたけど、全然、流行らなかったなぁ。
日下:ポキさんが言うとなんかネタっぽく聞こえちゃうんですよね(笑)。
――そういった試行錯誤を経て、少しずついい立ち回りができていったんですね。
ポキ:そうですね。実は上長である代表との1on1を利用して、進捗確認や戦略共有などを行うのですが、先程の「目標である遷移数を追わない」ということを掛け合うときには、日下先生にめちゃめちゃわかりやすい資料作りを手伝ってもらったりもしました。
日下:やりましたね。施策が走りすぎていて整理するのも大変だったので、優先度や進捗確認などを整理するディレクターのような役割を担っていたのもよかったのかもしれないですね。
そうやって交通整理をしながら、いろいろな施策を試した結果、自然検索流入が2019年の1年間で1,000%、アシストCVは10倍近くになりました。
――1,000%!どうしてそこまでの成果が出せたんでしょうか?
日下:まずは記事を増やしてセッションを増やすこと、それからすでに検索流入が多い記事にはテコ入れしたり、検索ボリュームの小さい記事も1位を取れるようにしたり、思いつく限りの施策を打ちました。目標を倒すためにこのスピード感では到底間に合わないと考え、100記事作っている最中に、新規記事をさらに100記事追加制作をしたこともありました。
――そんなに大量に作ったら、コンテンツのクオリティ下がりませんか?
ポキ:下がりません。というか下げちゃだめです。コンテンツに関しては、クオリティはよくて当たり前だと思ってます。クオリティ担保については、カルモマガジンのチームにDGM事業部のコンテンツユニット(以下、CU表記)出身の編集者さんやライターさんがいるのも大きいですね。
それで言うと、DGM事業部CUリーダーの三浦さんの育て方がすごくて、修正は絶対にしないんです。どんなに少しの内容でも「ロジックが通ってない」「この数字の根拠は何?」ってフィードバックだけして編集者に考えさせるから、編集者のレベルが上がるんです。結果としてコンテンツのクオリティが高くなる。
一度、CUに頼りっきりじゃだめだと思って、質を重視しているという編集プロダクション数社に頼んだんですけど、全然うまくいきませんでした。一番多くて15ターンくらい赤入れのやりとりをして、「いやいや、ナイルすごいわ」ってなりました。今は、カルモマガジンの体制も出来てきたので、CU出身のメンバー以外のメンバーも増えています。
――施策を行う上で、部署を超えて情報収拾していたというのも聞きました
ポキ:僕は編集者であって、オウンドメディア運営のプロフェッショナルではないから、すでに知見のある人がやればもっと早く成果が出ていたはずなんです。だから、誰かに聞く時点で遅れているのはわかった上で、年齢や部署とか関係なく頭を下げて聞きに行きました。頭なんか重力に任せれば勝手に下がるんですから下げりゃいいんです。
DGM事業部のSEOやオウンドメディアの知見はもちろんですが、ナイルにはWebメディアとして成功している「Appliv」がある。そこでは、SEO以外の流入施策をマーケターの針替さんに聞いたり、記事の質を上げるユーザーテストの方法をコンテンツディレクターの小泉さんに聞いたり、開発系の知見をエンジニアの工藤さんに聞いたりしました。皆、本当に優しくて、超心強かったですね。
事業部を横断した経験によって、改めてナイルの魅力に気付いた
――カルモマガジンに関わる前と今で変わったことは?
ポキ:DGM事業部にいた頃は、自分自身、営業さんが持ってきてくれた案件に対して、金額内で最大限いい記事を作る。読んだ人が「他のどの記事よりもわかりやすくて勉強になった」なんて思ってもらえるようなものを作るっていうことを目標にしてた気がするんです。でも、今は一緒に描いた道筋のパーツの一つを作っている感覚。どんな成果をあげるための記事なのかを理解すると、記事を作る上での意味合いが変わるんです。
日下:僕も、順位が取れていればOKというスタンスから、まずは1位を取った後に「CVをさらに伸ばすにはどうするか」を深く考えることができたのは大きかったですね。
――ポキールさんに聞きます。制作側から事業サイドに異動して思うことは?
ポキ:改めて、ナイルってやっぱりすごいなって思いました。SEOとコンテンツだけじゃなくて、メディア運営やコンテンツデリバリー、データ分析など、社員みんながそれぞれの専門性と知見を持っている。今後は、僕が試験的にやってきたことも部署を超えて社内にノウハウを共有して、発信していきたいなと思っています。あと、まだまだYou Tube動画制作とかターゲットメディアへの配信とか、広報とコンテンツでコラボしてやりたい施策もいっぱいあるんですよ。
――では、日下さんは社内の新規事業にコンサルとして関わって思うことは?
日下:「熱量すごいな」っていうのが一番。他部署にも熱い人がいると知れてよかったし、普段のコンサルでは学べないことが学べて、引き出しが増えた気がします。実際に現場でも活かせているし、メンバーにも共有して展開できてるのはいいですね。
ポキ:メディア作るときは「うちのコンサルに相談してCUチームが作れば簡単に伸びますよ」ってばんばん言ってほしい!
日下:実行の方が難しいし、ここまで実行できる人は少ないですよね。それに、提案だけじゃだめなので、コンサルと実行の両方が必要なのかなと。これが事例コンテンツになったらいいですね。
ポキ:異動の前に、DGM事業部の事業責任者から大きい花をもらって「DGM事業部はすごいんだっていうのを証明してくれ」と言われたんですが、このミッションはクリアできたんじゃないかと思います。めちゃくちゃ感謝してるんで、恩返しできたんじゃないかな。
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※本記事は2020年3月3日に公開しており、記載情報は現在と異なる場合がございます。