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【ナイルの組織】経営会議と「NNX」 – やっててよかった社内制度 その1

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ナイル株式会社 取締役 土居と申します( twitter / note )。

昨年9月から月1連載予定で始めたこのコーナー、今回が3記事目となります。また、社内制度その2があるかどうかはこの記事の反響次第です。よろしくお願いいたします。

バックナンバー:
【ナイルの組織】マネージャー向けに1on1の社内ガイドラインを作りましたので公開します
【ナイルの組織】給与と評価のリアルな話

さて、当社には「選出された3名の社員が毎週の経営会議に参加する(3ヶ月完全入れ替わり制)」みたいなことをやっている「NNX」という社内制度があり、いまのところ当初期待していた以上にやっててよかった公文式という評価をしているので、紹介します。

NNX(エヌ・エヌ・エックス)とは

NNXとは “Nyle Next X” の略称で、「次代のナイルを作るX人を生み出すプロジェクト」という意味で始まった社内制度です。2018年4月から開始し、約2年間の運用実績があります。

なお、「人数ならx人でもいいけどn人のほうが自然に見えるし、NNNとかN^3とかエヌスリー、などがいいのでは?」と提案したのですが「土居くんて本当どうでもいいことばっか気にするよね」と却下されたのははっきり覚えています。

NNXは「幹部育成プログラム」としてはじまった

さて、NNXの当初の目的は「経営幹部を社員から生み出すこと」でした。育成や抜擢を主眼に置いたプログラムです。

しかし、経営幹部を社内から!と言っても、チームを作ってマネジメントした経験もなければ事業を立ち上げたり育てた経験もない、経営に関わったこともない、という人がいきなり経営の役を担うのは難しいので、やはりステップは必要です。

そのうち、組織マネジメントをするとか何かを立ち上げるみたいな経験は現場で積んでいくことができますが、経営に関わる経験については経営に関わらない限りできません。

そこで、その経営に関わるステップを補完するための制度として、

・3ヶ月ごと、入れ替わりで社員を3人選出し、経営会議にフル出席してもらう
・内容は制限せず、生々しい話とかエグい話もバッチリする
・その期間、取締役がメンターとなり情報提供やフィードバックを行いながら、経営の意思決定に貢献する経験を積んでもらう

のようなやり方はどうか、という話でまとまり、それを制度として正式に運用したのがNNXのはじまりです。

なお、オブザーバーではなく、いち経営メンバーとして議論に参加してもらうことは最初から決めていました。オブザーブでOKとしないのは、意見言わないのに会議に出るのは時間の無駄だからです。

NNXへの参加メンバーには最初に「3ヶ月後に『ふだん使わない頭を使ったり、経営陣がどんな視点で物事を考えているのかに触れることができてすごく勉強になりました』みたいな、参加しなくても言えそうな感想で終わらないように取り組んでください」と伝えています。

選出された人は四半期の全社総会でみんなの前でスピーチできます

現在は「経営との視座合わせ&経営の視座で考える機会の提供」を主目的とした制度趣旨に変更

基本的には同じ制度として2年間運用していますが、1年間運用したタイミングで見直しを行い、「育成」よりも視座合わせとか別の視座で物事を考える機会を提供する、みたいな趣旨の制度として再定義しました。

開始から1年間運用してみて得られた恩恵は、幹部育成みたいな意味合いよりも

・経営会議への参加経験がある社員が社内に増えていく(経営陣含めると社内に30人ほど)
・経営会議でどんな話題があって、どういう論点で話して、どういう基準で判断しているかを現場社員やマネージャーが体感することができる

などが大きいと感じていたためです。

これはむしろ幹部育成とは別の課題としてあった「経営と現場マネジメント層の間にけっこう距離あるよね」みたいな課題に対するソリューションになりうると考え、現場と経営との視座合わせに主眼を置き、育成や抜擢はその結果の副産物として求めていく、という趣旨としています。

結果的に2年間で20人ほどの社員がNNXとして経営会議に参加、うち大半はマネージャーですが非マネジメント層も参加しており、いい感じに経営と現場の境界をかき混ぜられている実感があります。

とはいえ、NNXでの経営会議参加をきっかけに執行役員や部長格への登用も実際に行われ、またNNX参加者の提案から全社の決定事項が多数生まれている実績もあり、社内からの幹部抜擢や経営の強化という実利の面でも一定以上の結果は出ています。

このひとはNNX参加後にコーポレート本部長になりました

やってみて感じているデメリット

今のところ大きなデメリットと感じているものは特にないです。コスト面でも参加者の工数以上のコストもほとんどかかりません。逆にメリットは先に挙げたように色々あります。

総合的に、やっててよかった公文式、という評価をしています。

どういう人を、どういう基準で選出しているのか

ルールとしては「2回連続はなし、3人総入れ替え、連続でなければ何回でもOK」くらいしかないので、毎回各部署の担当役員から推薦を募っています。

選出基準は、上位マネジメント層で経営への関わりを強めてほしい人、は当然として、それ以外では「経営の視座で考える機会を持つことで何らかのブレイクスルーが見込めそうな人」といった基準で選出しています。参加した人は是非ブレイクスルーしてください。

NNXに選ばれるとNNX専用トロフィーが授与されます

NNX専用トロフィー。このトロフィーを授与された者はブレイクスルーできたり、できなかったり

NNXが参加している経営会議の雰囲気は実際どんな感じなのか

色々言ったものの、これは能力というより場慣れの要素が大きいのですが、NNX参加者の多くは放っておくとモブキャラ化し、結局ふだんから良くしゃべる役員が変わらずよく喋っている感じになりがちです。

会議が終わったあと、とある取締役の高階が参加者の1人に「あれ、今日いたんだ。気づかなかったわ」とニヤニヤしながら言っているのを見て本当に心ない人だなと思ったことも実際にありました。

一方、その中でも活発に意見挟んでくる人もいれば、強気に反対意見言ってくる人もいれば、全ての議題にドキュメントのコメント機能でコメント入れておくことで全部に意見を出す、など工夫してる人もいます。(参加前に過去の議事録も全て共有した上で参加してもらっています。)

最近は制度趣旨の変更を機にフォロー体制も変えて、個々にメンターつけるスタイルをやめ、僕(土居)が「情報提供」「質疑への応答」「判断基準の提供」に特化してオンラインで継続フォロー、隔週でフォローアップMTGも行っています。

このように献身的なフォローの甲斐もあり、最近のNNXでは以前よりいっそう経営会議における意見交換が活発に行われるようになってきました。

全社に議事録公開するとかで良くない?

経営に参加させるだけなら全社向けに議事録公開すればいいじゃん、という声もありそうですが、うちはこれはやらないです。

議論に参加せず、背景も文脈もじゅうぶんに理解していない人が議事録として情報だけ与えられたときにどんなメリットとデメリットがあるか?を考えるに、総合的には相当にコスパ悪いと考えているためです。

総じて、余計なこと考えずに持ち場の仕事で成果出すことに集中して欲しいということと、「経営の情報を共有すればみんなが経営事情を理解し、経営目線を持ってくれるようになるはずだ」は経営にとって都合良すぎる期待だと思っているフシもあります。

もちろん重要事項として共有すべきことがあれば然るべきタイミング(すぐ共有すべきことは即時オンライン共有、モノによってはじゅうぶん準備した上で定期の全社総会などで共有、など)で共有しており、現状特にそれで不都合はなさそうです。

NNXの参加者が「あなたがた経営陣と一緒にやっていくの無理だと分かりました。お世話になりました」とかで辞めたりしないのか?

生々しいキャッシュフロー計画の話とか人・評価・給与の話とかも含めて包み隠さずやる上に、取締役間では議論を通り越してただの口論みたいな感じにもなって荒っぽい表現もそれなりに出てくるので「あ、こいつら無理」ってなるかもという懸念はありました。

というか、そこそこあると思ってました。

ただ実際には、制度開始からこれまで20人ほどの社員がNNXを通じて経営会議に参加していて、今のところまだ1人も辞めてないので、ギリセーフだと判断しています。

開始当時は「幹部育成とかって選抜した人がそれでやめちゃうなら仕方ない、色々覚悟してやろう」みたいな判断をしたのですが、ここまでは結果オーライです。

現在進行中の3名。この3人もきっとすぐには辞めない

以上

現在ナイルでは「デジタルマーケティングで社会を良くする事業家集団」というビジョンを掲げており、それを素で実現するためには幹部層の増強は不可欠で、経営課題として全力でコミットしているテーマです。

採用を強化する、はもちろん力入れていますし、同様に中長期では経営人材が社内から当たり前に育ち生まれていくような土壌を作っていく意向で、NNXもその一環として継続していこうと思います。

2019秋。経営+歴代NNXで合宿なども
なお、繰り返しですが外部からの採用も相当やってるので、幹部の人も力をつけたい人も、是非こちらからご応募ください

おわり

この連載のバックナンバー:
【ナイルの組織】マネージャー向けに1on1の社内ガイドラインを作りましたので公開します
【ナイルの組織】給与と評価のリアルな話

 

※本記事は2020年2月7日に公開しており、記載情報は現在と異なる場合がございます。