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ナイルが実践するOKRとは?3つの型でノルマ化を防ぎ挑戦を促す、目標設定の考え方

OKRは、多くの企業で導入されている目標管理のフレームワーク。
少し背伸びした「理想の姿」を描き、その実現を通じて事業と個人の成長を後押しするためのものです。

しかし、組織の成長と共に運用が形骸化したり、「何のためのOKRなのか」がわからなくなったりしてしまうケースも少なくありません。

ナイルでも、事業や組織が大きくなる中で、OKRの運用と本来の意図とのあいだに、少しずつギャップが生じていました。

そこで、2025年からOKRの捉え方と運用を改めて整理し、ナイルの「今」に合った形へアップデートしています。
その背景と考え方、そして新しいOKRの運用について、人事本部・本部長の土居健太郎に話を聞きました。

土居健太郎(どい けんたろう)
ナイル株式会社 取締役 人事本部 本部長

東京大学工学部中退後、2009年にナイル株式会社に入社。2010年より事業部長としてDX&マーケティング事業の立ち上げを牽引。2015年、同社取締役に就任。2016年からはメディア&ソリューション事業部にて、自社サービス「アプリブ」サービス責任者を経て、同事業における新規サービスの立ち上げを担当。2021年1月に人事本部 本部長に就任、現在は人事責任者として主に採用と組織開発を担当。
著書に「10年つかえるSEOの基本」(技術評論社)がある。

本来の意図との乖離を防ぐため、OKRを刷新

──今回、OKRの運用がアップデートされました。一口で言うと、今回のOKR運用は何がどう変わったのでしょうか。

運用を変えたというよりは、OKRというフレームワークの捉え方を整理し直した、が近いですね。

OKRは、目標である「Objective(O)」と、その達成度を判断するための指標である「Key Results(KR)」を分けて設定する目標管理の枠組みです。
KRが達成できていれば、「このOは達成できたと言えるよね」という状態を作るための考え方です。

OとKRに分けて、やりたいことと、具体的にどんな結果を出したいのかを整理する。
それ以上でも、それ以下でもない、比較的シンプルで自由なフレームワークだと思っています。

──前提として、まずはOKRをどう捉えるか、という整理があったわけですね。

そうですね。その上で、OKRにはいくつか大事な前提があります。

例えば、評価には使わないこと。全体のOKRと個人・チームのOKRがつながっていて、みんながそれぞれのOKRに取り組めば、結果として全体のOKRも達成される構造になっていること。
また、どんなOKRが走っているかがオープンで、達成度がレビューされていること。

OKRは、そうした考え方や運用方法まで含めた考え方です。

──前提として押さえるべきポイントがいくつかあるということですね。評価に直結しないのが意外でした。

OKRは、評価は一旦置いておいて、どうやったら会社や事業が伸びるかだけ考えようぜという発想に近いです。
だから、評価との紐づいているのかがわかりづらくなるのは、その通り。

でも、「評価がわかりづらいから、わかりやすくしよう」とやり始めたら、それはもうOKRをやる意味がなくなってしまいますよね。

OKRは、評価を整理するための仕組みじゃなくて、事業や組織を前に進めるための考え方。
やりたいことに対して、使っている道具がそもそも違う、という話なんです。

──OKRは事業や組織を前に進めるための考え方なんですね。そのOKRの運用を、今回見直すに至った背景は?

導入してから10年近くが経ち、組織が大きくなる中で、OKRの運用が理想と乖離し、その利点を活かしきれていないと感じるケースが増えてきました。
最も多かったのが、「OKRのOは1つにすべき」「OKRが評価に直結している」といった誤解に基づく運用です。

こうした誤解によって、業績との連動性が高い目標に集中せざるを得なくなり、個人の意欲に基づく動きが減ったり、OKRに入っていない仕事の優先順位を下げたりする傾向がありました。

──運用が形式寄りになってしまっていた、と。

その結果、「これは(OKRに入っていないから)やっても意味のない仕事なのでは」という判断につながってしまうケースも出てきていましたね。
OKRの本来の良さが、十分に活かしきれていない状態だったと思います。

Oが1つに絞られることで必然的に重要なKPIにKRが集中し、さらにOKRで一般的によく言われる「簡単には達成できないストレッチ目標」を置くことで、単に「ハードルの高いノルマ」のような運用になってしまっていることもあったと思います。

そこで、よりわかりやすく、今のナイルに合った設計に変更し、本来の意図に沿ったOKRを柔軟に運用してほしいと考えました。

──時間の経過と組織の変化を踏まえ、見直しが必要になったんですね。

目標管理は固定化するものではなく、組織のフェーズに合わせて見直していくものだと思っています。
だから、違和感が出てきたタイミングで、変えていくこと自体は自然なことです。

今回は、「より自由に、かつ迷わず使える」状態に戻すことを意識しました。
本来の意図に沿ったOKRを、柔軟に運用してほしい、そのための刷新です。

「必達OKR」「挑戦OKR」「探索OKR」で非連続的成長を促す

──では、新しいOKRについて教えてください。

新しいOKRは、「必達OKR(Committed OKRs)」「挑戦OKR(Aspirational OKRs)」「探索OKR(Learning OKRs)」の3つの型から成り立っています。

会社運営の土台になる「必達OKR」

まず「必達OKR」は、会社として絶対に達成してほしい目標のこと。3つのOKRの中でどれが一番大事かと聞かれたら、まずはこの必達OKRです。
事業と組織の足元を支える基盤であり、ここが崩れている状態で挑戦や探索に取り組んでも、会社は成り立ちません。

必達OKRがしっかりと機能していることを前提に、その上でどれだけ挑戦や探索を積み上げられるか。
そこが、組織としての成長角度を決めていくポイントだと考えています。

必達OKRは現在の業務の中で、容易ではないけれども達成が現実的な目標を設定し、達成率100%に向けて優先的にリソースを割いてもらう形です。

少し話はそれますが、OKRはストレッチした目標を設定するものという前提で、通常は達成率60~70%程度が目安とされています。
しかし、それをメンバーが文字通り受け取って、「OKRは達成率70%くらいで良い」とする考え方になってしまってはまったくもって本末転倒です。

よく言われる「OKRは70%達成率くらいで」の話は、あくまで「すべてのチームが挑戦的な目標を設定し、本気でその達成を目指した結果、みんなが100%達成できているようでは難易度設定が緩い、みんなが30%しか達成できていないなら厳しすぎる、全体が50-70%くらいの達成率に落ち着くように難易度を調整せよ」のような、マネジメント側の話と捉えるべきなんです。

この話が、「挑戦的なストレッチゴール」「70%達成」のようなワードだけ独り歩きして理解されてしまい、目標としては「何が何でも達成したほうがいいのか、達成しなくていいのか、よくわからない」みたいな、わかりづらい運用になっていることが、世の中的にも意外に多いのです。

なので、そういう誤解がないように、最初から100%を目指すOKRがあっても良いと考え、「必達OKR」という枠組みを作りました。
「これは達成することを前提とした目標だ」と宣言することで、判断基準がブレないようにすることが目的です。

非連続な成長を導く「挑戦OKR」

「挑戦OKR」は、もともとのOKRの主旨に最も近いものです。
変化の激しい市場で競争優位性を維持し、アグレッシブに業績を伸ばしていくために掲げる挑戦的な目標ですね。
非連続な成長を生み出すためのチャレンジ目標、と言い換えて良いかもしれません。

従来の延長線上にある発想ではイノベーションは生まれにくいし、時間やリソースが限られる中で高い成果を出すこともできません。
「普通にやってたら実現しないだろう」という考えが、「どうにかして達成に近づける方法はないのか」に変わることで、現場の動き方も大きく変わります。

目まぐるしく変化する業界で成長し続けるために必須の考え方として、改めて「挑戦OKR」の名前で運用することにしました。

将来への種まきや学習を進める「探索OKR」

最後に「探索OKR」は、直近の業績成長や事業成長には結びつかなくても、組織の未来をつくる可能性がある研究活動や新規事業開発などを対象としたものです。

やらなければいけないことを確実にやる必達OKRと、非連続成長を目指す、チャレンジングな挑戦OKRだけでは、業績連動性の低い試行錯誤や長期的な視点での学習が不足します。

そこで、挑戦OKRに入れてもいいけど、挑戦というとハードルが高く感じるものや、「そもそも何がどこまでできたらすごいのかもわからないけど、このテーマに取り組む価値はありそう」というものを探索OKRに想定しています。

これは業績にすぐに結びつかなくても構いません。やった結果、思ったほどのインパクトは得られないだろうとわかること自体が成果になります。

数ヵ月かけて本気で調査や検証、試行錯誤を行って、これはダメだと判断できたなら、それは立派な収穫。組織として学習し、次につなげるための活動ととらえています。

また、必達領域の延長線上で検証を行うのも良いでしょう。

例えば、1人あたり200万円を売上げるチームが、AIなどで業務プロセスを大幅に刷新し、300万円を当たり前にできないかを試す。
10人で2,000万円だった売上を、3,000万円に引き上げられるかを検証する取り組みです。
結果として3,000万円に届かなくても、1人あたりの平均が200万円から250万円に上がれば、それは明確な成果と判断できます。

このように、会社として取り組む以上は、「投資」であることも忘れてはいけません。5人月、6人月を使って学習・検証するなら、その結果が経営判断に活きる必要があります。

企業によっては、ラボ的な役割を専門で担うR&D部署を設けるケースもありますが、走りながら自分たちで考えていく形のほうがナイルらしいなと思ったんです。
なので、あえて専門部署の仕事とせず、「探索OKR」として既存の枠組みに追加できるようにしました。

3種のOKRが連鎖して、良い影響を及ぼす

「探索OKR」で得られた知見や発見が「必達OKR」にも「挑戦OKR」にも還元されるようになると、3つのOKRが連動して会社や事業の成長につながっていくと考えます。

必達OKRをクリアすることで、探索OKRや挑戦OKRに安心して取り組むことができる。
また、探索OKRが必達OKRのクオリティ向上や挑戦OKRの領域拡大を後押しし、非連続的な成長を生み出していく──そんな連鎖が生まれると良いですね。

よくあるOKR運用への誤解に対するナイルのスタンス

──新OKRの運用は2025年後半から走っていますが、社員からはどんな反応がありますか。

これまでとは違う運用に戸惑っている人もいれば、これまでの運用に近くてあまり変わらないと感じている人もいるようです。

全体としてはまだ試行錯誤を重ねている印象ですが、会社の方向性や事業戦略の最新情報を吸い上げながら、OKRに落とし込んでいく動きが少しずつ当たり前になっていくといいですね。

3種のOKRは「選択肢」であって「義務」ではない

──3種のOKRへのリソースの配分は、どのように考えれば良いのでしょう。

特にバランスを意識する必要はありません。もちろん、3種類のOすべてを設定する必要もありません。

必達Oは設定する場合が多いですが、挑戦や探索については、その時点の事業戦略に合っているかどうかを踏まえて決めれば十分です。
探索を3つ並べる部署があってもいいし、必達2つにリソースを集中させる期間があっても構いません。

「この期間は、必達OKRをクリアすることの優先度が高い」と考える人はそれに全力を注げば良いし、事業成長のヒントがつかめそうなら探索OKRに集中すれば良い。

やらなければいけないことが増えたのではなく、やれることの選択肢が増えたと思ってくれたら良いなと思います。

──Oの数はどれくらいのイメージですか? 

それもまた注意点で、Oを増やしすぎるのも、優先順位が決められていないだけなので良くないです。

あれもやりながら、これも、こっちもやろう、とすると、後半のものは優先度が下がって、結局一番わかりやすいものに収束しやすくなります。

どれが今のテーマなのかを定めて、それをどうやって達成するか、どこまでやるのかを決めることを踏まえると、一般的に言われているように、Oは1〜3つ程度には収めたほうがいいですね。
期の途中でも、「このOKRはいらないな」と思ったら辞めたり、変えたりしてもいいです。

OKRは経営戦略に紐づくものなので、上長との議論の中で自分のやりたいことを伝えて、納得できるOKRを作っていってほしいですね。

「OKR達成度=評価」ではなく、評価材料のひとつ

──新OKRも、評価には直結しないという認識で合っていますか。

はい、最初に話したとおり、OKRは評価ツールではありません。評価に使いやすくすると、OKRはただのノルマ管理ツールになってしまいます。

誤解しないでほしいのは、「OKRは評価に関係ないから、達成できてもできなくても、評価には関係ない」では決してない、ということです。
数多ある評価材料の中に「OKRに対する取り組み姿勢、プロセス、貢献度」は当然含まれます。

ですが、「OKRが達成できたからA評価、OKR未達だからC評価」といった杓子定規なことはしない、というのが「評価に直結しない」の意味です。

──ここまで聞くと、「評価に直結しないなら、評価はどうするのか」と感じる方もいそうです。

定量的な業績指標はもちろん、仕事の中身や周囲への影響力、今後の期待する役割など、多角的に評価しています。
なので、通常の期待を超える成果や、想定外の貢献があれば、それはもちろんプラスの評価につながります。

仮にOKRが達成できていなくても、取り組む姿勢やプロセスが優れていた場合、挑戦した結果としてチームの指針を良い方向に変えるなど大きな影響を与えた場合などは、それをもってプラス評価とすることもあります。

OKRを採用する以上は、単純な見た目の達成率だけで評価を決めることはしないという覚悟が、マネジメントには求められているんです。

ナイルの評価制度の中では、ベース給与の算定基準となる評価には「直接的には」影響せず、賞与やインセンティブを決める際の成果評価で主に考慮されるイメージです。

<ナイルの評価と給与の決まり方>

「OKRを何%まで達成すると、どう評価されるのか」といったわかりやすさを求めたくなるかもしれませんが、

チームや組織に最大限貢献するには何をするべきか、今の期待以上の成果を出すにはどう動くと良いのかを考え、実行するための指標として使ってもらいたいと思います。

<ナイルの評価指標にまつわる記事>

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給与と評価のリアルな話

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【ナイルの組織】人事評価制度と給与の考え方を完全公開

柔軟な発想と行動で、社員が組織を動かす未来を作りたい

──新OKRを通じて実現したい組織像を教えてください。

教科書的に言えば、高い次元でナイルのバリューを体現する社員が増えている状態です。
もう少し具体的に言うと、調子がいいときにはその勢いを崩さずに伸ばし続けられ、仮に停滞したとしても自分たちの力で必ず打開できる。
そんな、折れずに成長し続けられる強さを持った会社でありたいと思っています。

300人規模の組織において、目標の置き方や捉え方は決して小さな話ではありません。
同じ100の力を持っている人でも、75しか出せない状態なのか、120を発揮できる状態なのかで、組織全体の推進力は大きく変わります。

「ここまでやらなければならない」「これ以上は難しい」と制約の中で働くのではなく、「どうすればもっと前に進めるか」「どうすれば組織として強くなれるか」を考える。
会社の目指す未来と世の中のトレンドを踏まえて新事業を提案したり、従来の戦略を覆すに足るアイデアを戦略会議で提示したりすることが当たり前になり、働く人の力で会社が動いていく。

新OKRを通じて、そんな思考と行動が自然に生まれる組織になっていきたいですね。

 

※本記事に掲載している情報は、公開日もしくは最終更新日時点のものです。

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