アドフラウドの不安なく、広告効果を最大化する──「NYLE TRIDE」が目指す新しい世界
全社MVPの獲得経験もある石井久規が率いるアドマーケティング事業は、広告詐欺であるアドフラウドを減らし、費用対効果(ROAS)を高くアプリユーザー獲得を実現する広告配信プラットフォーム「NYLE TRIDE」を運営しています。
2023年夏にはサービス名称を「ピタッとROAS」から「NYLE TRIDE」とし、サイトも一新。
クライアントの反応も上々で、サービスは成長フェーズにおけるステップをまたひとつ上りつつあるようです。
ここ数年で急成長している「NYLE TRIDE」の飛躍の理由を紐解くべく石井に話を聞くと、サービスと組織の進化のポイントと、その背景に変わらずにある「関係者みんなが“Win”になるようなプロダクトづくり」への信念が見えてきました。
石井久規(いしい ひさのり)
アドテクノロジー事業 COO
新卒で金融業界の営業を3年経験。2009年に老舗ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)に転職し、既存顧客グロースや業務効率化の経験を経て、マネージャーに就任。2014年に入社した巨大ITベンチャーのグループ企業では、営業・運用を担当。企業上場後は、ASP事業の責任者に就く。2021年にナイルに入社し、アドテクノロジー事業の責任者を務める。
目次
「アドフラウドを許さない」がサービスコンセプト
──石井さんには、「ピタッとROAS(現NYLE TRIDE)」の立ち上げメンバーとして入社された2021年にお話を聞いています。その後事業は急成長して、社内でも「短期間でこんなに成長する事業ってあるんだ!?」と驚く声が多かったです。
当時は「ピタッとROAS」を立ち上げたばかりで、やっとスタート地点に立ったところでした。
軌道に乗れば早期に受注額も順調に伸びるだろうとは思っていましたけど、予想していたより速かったですね。
ただ、クライアントの数が劇的に増えたというわけではないんですよ。
後発サービスなので、スタート当初はライブチャット系やマッチング系といったニッチなアプリにフォーカスしていたんです。
サービスが軌道に乗るにつれてゲーム系やツール系へ対象の業界を広げていき、比較的大きな額を広告予算に投資する企業との取引が増えました。
1件の受注額が上がったことが売上に反映された感じですね。
立ち上げ当初から軸をぶらさず、不正対策の強化や運用効率の改善に取り組んできたことが良い結果につながったのではないでしょうか。
──大きく成長しているサービスですが、事業について改めて教えてください。
「アドフラウドをなくすこと」をコンセプトに立ち上げたサービスです。
「不正被害ゼロへの挑戦」を掲げて、とにかく徹底的にアドフラウド対策をする。またそれによって、正しい広告効果を把握する――攻めと守りの両輪で、クライアントの広告効果を最大化することを目指して事業を展開しています。
アドフラウドは、広告主の投資を無駄にし、マーケティング効果を低下させる大きな課題で、その被害総額は年間800億ドル以上ともいわれているんです。
アドフラウドによって必要のない広告料を払ったり、広告の成果を正しく評価できなくなったりすることを懸念されるクライアントは少なくありません。
対策するのも大変です。
──ナイルのサービスが他社と違うところはどういった点なのでしょうか?
ナイルは独自の基準を持ち、発生したアドフラウドを自主的に請求対象外とする正々堂々としたサービスを行っていました。
これ自体、業界では異端児ともいえるサービス提供の在り方なんですが、私自身はそもそもアドフラウドを発生させないことが重要だと以前から思っていて。
そのためには、インストールが発生する前段階、広告がクリックされた時点で怪しいアクセスを遮断できるのがベストなわけです。
それで、ナイル入社後に広告クリック時の不正トラフィックをブロックできるクリックフィルターを作ってもらいました。
クリックフィルター自体はほかのASPにもある機能なんですが、一般的なクリックフィルターは不正トラフィックと判断したクリックを広告のリンクに飛ばさないだけで、アプリのインストール自体はできてしまうんです。
すると、オーガニックの数字の中に不正なインストールも混ざってデータが荒れてしまうので、オーガニックの数字をもとに運用する広告のターゲティング精度が落ちます。
この負の連鎖を防ぐために、ブロックしたアクセスを全部エラーページに飛ばすことにしました。
──かなり思い切ったやり方ですよね。ユーザビリティが落ちることを懸念する媒体もいるのでは?
そう、だからこそ、どのASPも踏み切れないんですよ。
でも、ナイルにはできる。
なぜかというと、「アドフラウドを許さない」ことがサービスの原点で、それを理解してくださっている媒体としか提携していないからです。
──サービスがスタートしたときに掲げた世界観が、ここで活きてくるわけですね!運用効率の改善についてはいかがですか。
アドフラウド対策の一環として、インストール後のユーザーの動向を監視して、各種KPI指標をもとに掲載面ごとの効果の良し悪しを判別できるようにしました。
社内の管理画面の改修を重ね、最も細かい粒度で、多角的に広告効果を確認できる環境を実現しています。
これによって、精度の高い数字をもとに効果を分析し、配信の強化なのか縮小なのか、的確な判断をすることができます。
以前はROASのみだったKPI指標も、ユーザーのアプリ利用継続率や、無料会員から有料会員への転換率などに拡大しました。
サービスは、ROASの次のフェーズへ
──指標をROAS以外に拡大したというお話がありました。2023年にサービス名称が「ピタッとROAS」から「NYLE TRIDE」に変わったのも、そのあたりに理由があるのですか。
ROAS以外のKPIを重視するクライアントが増え、サービス名でミスリードを招くのを避けたいと思うようになりました。
クライアントの広がりと共に、ROASを前面に押し出すフェーズが終焉を迎えた気がしたんです。
──クライアントからの評判はいかがですか?
「ロゴがカッコイイですね」「いいサービス名ですね」とめちゃくちゃ言っていただきます(笑)。
サービス名による先入観が外れたこともあってか、これまでお取引のなかったクライアントから大型の発注をいただいたり、既存のお取引先からの受注額が増えたりもしました。
──新しいサービス名の「TRIDE」にはどんな意味があるのでしょう。
「TRIDE」は、英語で「強靭で速い馬」を意味します。
アフィリエイトは広告出稿のリスクが少ないといっても、アドフラウドを懸念されるクライアントは少なくありませんし、対策も大変です。
たとえ対策が万全でも、費用対効果が良くなければ出稿する意味がないと考えるクライアントも多いでしょう。
このサービスを提供するからには、アドフラウドの心配が不要で、しかも広告効果を最大化できる世界をクライアントにお見せしたいですよね。
その世界に続く道は平坦ではなく茨の道なんですけど、ナイルなら強靭な馬のように強く、速く駆けていって、クライアントに理想の世界を見せることができる。そんな決意を込めました。
それと、「TRI」には、ラテン語やギリシャ語で「3」の意味があるんです。
──「3」という数字にこだわったのはなぜでしょうか。
われわれの事業は、土台となるサービスを作るシステム開発がいて、管理運用を担う人がいて、営業がいて初めてサービスを世の中に出すことができます。
世の中に出た後は、クライアントがいて、広告を掲載する媒体があって、広告主とメディアとのマッチングを行う僕らがいてサービスが成り立ちます。
どれも欠かすことができないからこそ、すべてがWin-Winになる方法を見つけなければいけない。
三方がすべてWinになるために仕事をすれば、「TRIDE」として目指す世界により早く到達できる――そんなふうに、私たちの核となる思いもサービス名に込められています。
──前回のインタビューでも「関係者みんながWinになるようなプロダクトを作りたい」とおっしゃっていましたし、その部分はブレないですね!石井さんの思いを正しく組織に伝えるために、何か工夫はされていますか。
チームメンバーに戦略や方針を伝えるときは、ビジュアル化した資料に落として、決定の経緯まで共有します。
また、経営会議の決定情報や今後の事業見込みだけではなく、クライアント担当者のリアルな声などの情報もオープンにして、一人ひとりが事業や業界の理解を深められるようにしているんです。
これによって解像度のレベルが均一化して共通認識・共通言語を持てるようになり、組織としての一体感が生まれたうえに、メンバー各々がプロダクトにオーナーシップを持てるようになっています。
全員が同じ志を持ち、クライアントや媒体を含めたプロダクト・組織・会社にとって最善だと思うことに自主的に取り組む組織風土が醸成されたのを感じます。
「何か問題が起きたら、最後は石井がなんとかする」とみんなには伝えていますし、実際「きっとなんとかしてくれる」という信頼を感じているので、これからも伸び伸びと力を発揮できる組織づくりに力を尽くしたいです。
次のステップは、認知度を上げてクオリティを実感してもらうこと
──今後については、どのような展望を描いていますか。
制約をできるだけ減らし、提供できるサービスの幅を広げていくことはマストだと思っています。
ただ、「NYLE TRIDE」はいかんせん後発で認知度が低いので、まずはサービスを知ってもらうことからですね。
知って、使ってもらえたら満足していただけるクオリティは担保できているので、「NYLE TRIDE」をより多くのクライアントに届けるセールスメンバーを募集しています。
よくある「クライアントファ―スト」ではなく、自分たちも含めた3者すべてがWinになるサービスの在り方に共感してくれる人に加わってほしいですね。
──少数精鋭で急成長している事業部ですから、営業として学べることは多そうですね。
まさに「TRI」で私と運用、エンジニアの3職種体制ですし、さっきもいったようにフラットな雰囲気ですから、やりたいことをやりたいと言える、実際にチャレンジできる環境が魅力だと思います。
実際、プロダクトを横断した営業に関わったり、顧客のライフサイクルを通じたアプリのプロモーションに関わったり、幅広い活躍ができると思いますよ。
最終的には、プロダクト責任者を目指すこともできます。
このチームのみならず、ナイルには社員の提案を受け入れ、「どうすればできるか」をいっしょに考えてくれる風土があります。
現状維持優先の保守的な風土でモチベーションを失いつつある方、縦割り組織で意思決定のスピードが遅く閉塞感がある方は、ぜひコア人材として「NYLE TRIDE」をいっしょに事業を次のフェーズへ進めましょう!
※本記事は2024年3月7日に公開しており、記載情報は現在と異なる場合がございます。
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