リモートワーク下でナイルはどうなった?見えてきた課題と対策
ナイルでは、2020年3月より新型コロナウイルス感染症対策として原則リモートワークを実施。一部の部署を除いて、現在もメンバーの多くは「在宅」をメインに業務を進めています。
こういった動きはナイルに限った話ではありませんが、会社としてこれまでにない取り組みであり、実施までの日数も限られていた中、不安を覚えるメンバーも少なくありませんでした。
リモートワーク実施から半年が経過し、メンバーにとってこの業務形態が普通になってきた今、ようやく「同じオフィスにいないこと」によるさまざまな課題が顕在化してきた模様。
そこで今回は、日々ナイルのメンバーの様子をウォッチしている社長室・組織開発のメンバーである小林直道と増田朱里に、リモートワークの導入にあたって意識したことや、見えてきた課題と対策について聞きました。
小林直道(こばやし なおみち)
ナイル株式会社
社長室 組織開発マネージャー
株式会社ECナビ(現:VOYAGE GROUP)にて会員制メディアの媒体営業としてキャリアをスタート。営業リーダーを務めた後にウェブディレクターへキャリアチェンジ。一方で部長職も務め、営業やオペレーター、エンジニア、デザイナーなど多職種のマネジメントを行い、事業と組織成長を手掛ける。
その後、ソネット・メディア・ネットワークス株式会社(現:SMN株式会社)へ転職し、DSP事業の営業課長として営業組織を推進。2020年5月にナイルへ入社。
<小林が登場した記事>
目指すは毛利元就の生き様。事業経験を経て挑戦する組織開発への熱い思い
増田朱里(ますだ しゅり)
ナイル株式会社
社長室 組織開発
2012年入社。デジタルマーケティング事業部でコンテンツ管理、CS業務を経て、社長室の立ち上げに携わる。2016年から採用人事としてセールスやマーケター、エンジニアをはじめとする全ポジションのキャリア採用を中心に、制度設計・組織活性を兼務。現在はメンバーのエンゲージメント向上、新入社員のオンボーディングのサポートを行っている。
目次
リモートワーク下でも円滑に業務を進める取り組み
――政府の緊急事態宣言に先駆け、ナイルでは3月6日からリモートワークが始まりました。リモートワークの導入が決まったとき、組織開発のメンバーとしてどのような心境でしたか?
増田:正直に言うと、不安のほうが大きかったです。というのも、リモートワークに移行することが決まったのはその前月の2月末。開始まで1週間あるかないかの時期だったので、社員それぞれの対応が果たして間に合うのか?という懸念がありました。
また、特に私たちが所属する社長室の場合は対面での仕事がメインで、実際それによってバリューを発揮してきたチームでもあります。そのため、そこをどうリモートでやっていくのかも悩みどころでした。
――確かにそうですよね。そんな中、事前に準備したことは?
増田:特に意識したのは、「考え方の切り替え」と「オンラインでの環境整備」です。どんな業務でも「これは対面でないと難しい」という既成概念を捨てて、「オンラインでどう実現するか」「オフラインと変わらない環境をどう維持するか」を議論しました。そして、新入社員向けのオンライン研修マニュアルづくりをはじめ、突貫にはなりましたが体制を整えた形です。
――特にリモートワークという環境下で入社したメンバーの中には、当初不安を感じる人もいたのではないかと思います。実際にリモートワーク導入後の5月に入社された直道さんはいかがでしたか?
小林:入社する前は結構不安でしたね。でも、いざ入社してみると、リモートとはいえ社長室のメンバーが積極的に話しかけてきてくれて。なので、それほど寂しさを感じることもなく(笑)、不安が払拭されました。
増田:結局は所属部署やチームといった、業務に付随するメンバーとのコミュニケーションが一番重要になってくると思います。ただ、特に3月入社の方たちに関しては、私たち自身もリモートワークに慣れていない状況だったので、これまでとは少し違うアプローチを行いました。
――例えばどんなことをしたのでしょうか?
増田:入社研修のタイミングで、リモートワークに移行した流れや、会社の今の状況についての説明を追加しました。また、Slackの使用方法をはじめとする社内コミュニケーションのスタイルなど、細かいけれど重要なことを伝えるようにしています。
そういったナイルで働く上での前提をこれまで以上にしっかりシェアすることで、その先にある部署やチーム内でのコミュニケーションも円滑になるのではと考えました。
――組織開発側から事業側に働きかけていることはありますか?
小林:ナイルでは元々1on1を推奨していましたが、それをより強化するようにしてもらっています。
増田:そうですね。新入社員はもちろん、既存のメンバーでも、リモート下での1on1は時間の長さやクォリティーより「回数をどれだけ重ねたか」が重要といわれています。そのため、新入社員とは毎日、それ以外のメンバーに対しても毎週行うよう、これまでより回数を増やしているマネージャーが多いですね。私たちからも、最低でも週に1度は1on1を実践するよう伝えています。
そして、新入社員に対しては入社初日の面談を追加しました。組織開発が各々のバックボーンの理解を深めることで、オンボーディングの質を向上させたいという思惑があります。同時に、マネージャーともどのようにオンボーディングを進めるかについて相談する機会を設けるようにしました。
組織開発とマネージャー間で課題の認識を合わせた上でオンボーディングに臨み、その後も新入社員がスムーズに業務に取り組めているか、何か困ったことがないかをきちんと把握して、各メンバーに合ったサポートをしています。
課題は「会社への帰属意識の薄れ」――対策は?
――メンバー間では、リモートワークになって良かったという声も多くありますよね。
増田:通勤時のストレスが減ったとか、会議室の空き状況に左右されないから場所を選ばずに話ができるようになったなど、物理的な面でメリットを感じている人は多いですね。
会社で改まって上司と話をするより、オンラインでの1on1のほうが話しやすいという声もあります。
小林:自宅でリラックスできる環境にあるから、というのが大きいかもしれません。あと、これは徐々にそうなってきたんだと思いますが、対面で行っていた頃と比べて、会議などでの対話力は上がっている気がします。
増田:それはありますね。リモートでの会議になったことで、みんなに伝わりやすくするための準備を入念に行うなど、会議に向かう姿勢が変わったので、以前より質の高いものになっていると思います。
――対面よりも伝わりづらい空気感があるのを踏まえて、話者に対していつも以上に意志表示をしっかりすることを心掛けているといった声もありますね。では、その一方で課題として見えてきたものもありますか。
増田:自分の所属部署やチームの人たちとのコミュニケーションはできても、直接業務では関わらない別の部署の人たちとはなかなか接する機会がないのが、今一番の課題です。
出社していれば、業務上で関わりがなくても社内ですれ違うときに軽く話をしたりできますし、四半期に一度の全社経営会議後の打ち上げなどで全社のメンバーと交流する機会がありました。それ以外にも、ナイルには部活動の制度があるので、事業部を越えたつながりを作る機会があるのですが、それも緊急事態宣言中にはできなくなってしまったので…。
今(2020年9月16日現在)も感染対策として、社内懇親会などを含めた社内交流に一定の人数制限を設けているので、通常の活動が思ったようにできていない現状があります。
小林:ただ、全社向けのアンケートやヒアリングなどを通じてわかったんですが、実際にそれを不満だと思っている人は、実はあまりいなかったりもするんです。なぜなら、自分の業務には意外と支障がないから。でも、組織やメンバーの未来を中長期的に考えると、このままでは絶対に良くないとは思っていて。
――というと?
増田:リモートワークが続くと、周りの状況が見えないこともあって、どうしても会社への帰属意識みたいなものが薄れてしまうと思うんです。
小林:なので、事業部を越えた取り組みにもいくつかのチャンネルがあるといいのかなと思います。家で一人黙々と作業をすることがずっと続くと、視野や世界はどうしても狭くなる。誰かと触れ合うことで継続的に新たな情報を得たり、称賛や指摘を受けて自分が会社にどう貢献できているかを実感したりすることで、チームや事業部、会社に属している自分を感じられるんだと思うんですよね。
そこで、縦と横だけでなく、斜めのつながりを会社全体で築いていくことが今後の課題だと感じています。
「斜めのつながり」を醸成してきた強みを活かす
――業務で絡まないメンバーとの交流においては、新入社員にはハードルが高いことのようにも思います。
増田:これまでナイルでは、事業部やチームごとに懇親会を定期的に開催していました。任意参加ではあるものの、多くのメンバーが参加して、それによって業務で関わらないメンバーとのつながりも生まれていたんです。
リモートワークが始まって以降はオンラインで開催しているのですが、入社間もないメンバーにとっては、そもそも知らない人ばかりの懇親会には入りづらいはず。その状況を変えるためには、懇親会に出ることを“目的”とするのではなく、例えば、「◯◯さんと話したいな」「みんなの顔が見たいな」とか、懇親会に出る理由やきっかけを作ることが大切だと考えています。
それには、入社後の早い段階で、社内での“顔見知り”や、その人も会話に参加できるような話題でほかのメンバーと盛り上がれる場を作ることが必要だと思うんです。そのため、試用期間終了後は各部署にお任せしていた新入社員のケアを、それ以降ももっとフォローアップできるように、オンボーディング期間の延長と強化を図っていく予定です。
小林:それと同時に、各事業部やチームでも、ゆるっとしたミーティングというか、「とりあえず一服する時間」のような感じで、何でも話せる場をもう少し増やしていってもいいのかなとも思います。実際に、意識的にメンバーとの軽いコミュニケーションの場を作っているチームもあって、うまく機能しています。
――部署によっては「雑談Slack」を作っているケースもあるみたいですね。
小林:そうですよね。毎日出社していたときは、雑談の中から新しいアイディアが生まれることもあったじゃないですか。なにげない会話の中で「それ、いいね!」みたいな。リモートでアイディアの壁打ちや気の置けない会話を実現するには、組織としてリモートの強さを持つ必要がある気がします。
増田:そういう意味では、ナイルがそもそも“斜めのつながり”を大事にしていて、それが当たり前の環境であったことは強みだと思います。なので、これまでオフラインで行われていたことと同じ質のものを、今後はオンラインでも提供したいと思っています。
――ナイルへの転職を考えている人の中には、入社してすぐにリモートワーク環境となることで、業務を通して自分が成長できるか、活躍できるか不安な人もいるかと思いますが、その気持ちが少しでも解消できるといいですね。
小林:ナイルの特徴として、ITベンチャー企業であって、いい意味でITベンチャー企業っぽくないというところもあって。どういうことかというと、一例ですが、元々事業展開していたデジタルマーケティング事業やメディア事業だけでなく、現在3本目の柱として私たちが注力しているモビリティサービス事業があります。これはクルマの事業なので、必ずしもIT業界経験者を集めているわけではありません。
それ以前からも、不動産業や金融業、さらには公務員だった方など、ナイルにはまったく違う業種からの転職が多いので、オンボーディングにおいては、さまざまなバックグラウンドを持つ人に対するフォロー体制ができています。
先ほども増田が話していた通り、新しく入社された方がリモートワーク下でも会社に慣れて、活躍できるまでのフォローは今後も強化していきますので、安心して臨んでほしいですね。
増田:そうですね。ひと口にフォローアップといっても一律ではないので、これまでのケーススタディを元に、ITベンチャー企業ならではのスピード感をもって、各人に最適化したスタイルで対応しています。
ただ、そこで重要になってくるのが、一人ひとりの主体性。「自分はこうしたい」という意志があってこそ、私たちもベストなフォローができるんです。
ナイルには積極的なアウトプットを非常に歓迎する文化があります。なので、自分からどんどん発信していくことを意識してもらえれば、リモートワーク環境でも早くナイルに馴染んでいけると思いますよ!
小林:そうですね、皆さんの熱い意志を全力でサポートしていきたいと思っていますので、安心してエントリーしてくれると嬉しいです!
※本記事は2020年9月16日に公開しており、記載情報は現在と異なる場合がございます。