「広告にはUXを豊かにする可能性がある」速攻で勝負するゲーマー社員の野望
スマートフォンメディア(SMP)事業部で、アプリレビューサイト「Appliv」の広告運用を担当する大内佳紀。広告運用に目覚めたのは、前職で自身が関わったゲームアプリ開発での苦い経験からでした。複数の会社で働いてきた大内に、ナイルで働くことの面白さをたずねました。
ナイル株式会社
スマートフォンメディア事業部 Appliv広告ストラテジスト
大内佳紀(おおうち よしき)
1987年2月生まれ。2017年ナイルに中途入社。大手飲食チェーン店員、採用人事、ゲームイラストディレクター、サービス企画を経てナイルにジョイン。現在は自社メディア「Appliv」の広告運用を担当。
目次
サイトの世界観と広告とのバランスを考える醍醐味
――大内さんの今のお仕事について教えてください。
Applivの広告運用全般を担当しています。「Appliv Ad」という自社広告システムのコントロールがひとつと、それからGoogle AdSenceなどのネットワーク広告の設計・運用を担当しています。広告収益はメディア運営に欠かせないですから、重要なポジションだと感じています。
――Applivならではの広告運用の難しさはどこにありますか。
Applivのページは「ゲーム」「音楽」「ビジネス」など、3,000近くものカテゴリーに分かれています。例えば、ゲームアプリを探しに来たユーザーにグルメの広告を表示しても、あまりクリックされないですよね。それどころか広告を邪魔に感じたら、サイトの離脱につながってしまう。ですから広告とサイトの世界観を保つバランスがポイントで、そこに醍醐味を感じますね。
――広告の配置や内容が、ユーザー体験や収益に影響してくると。
そうですね。去年の例でいうと「Appliv Topics」というアプリのまとめやアプリにまつわるニュースを紹介するコンテンツのGoogle AdSence改善を行いました。それまではそこまでPVも多くなかったため、Googleが推奨する自動設定をそのまま導入しているくらいでした。ただ、「Appliv Topics」のPVが直近で大幅に伸びてきたので、機械頼みの設定だけではなく、よりサービスのデザインや導線に沿った設計を行いました。もともと「Appliv」本体でもAdSense枠の配置やデザインのブラッシュは担当していたので、今回はPDCA自体はそこまで回していなくて、数回の修正で「Appliv Topics」におけるGoogle AdSenceによる収益が2カ月で2倍になりました。
――そんなに変わるんですね!
もちろん広告の最適化をしていくのも大事ですが、きちんとユーザーに寄り添えるかも大切です。片方ではだめで、双方のバランスをいかにとっていくのかは考えないといけません。これは私の体験ですが、スマホゲームをプレイしている途中で、『クラッシュロワイヤル』っていうゲームの動画広告が流れてきました。動画を見る限り私の趣味にすごく合致していたから、すぐにダウンロードして。そうしたら期待通りに面白くって、ついに「日本一決定戦」に出るくらい自分史上最高にハマったんです。Applivを訪れるユーザーは「いいアプリと出会う」という体験を求めていることを考えると、広告は出し方次第で体験を豊かにする存在になり得るはずと考えています。
――ユーザーのニーズにマッチした広告を出しつづける秘訣は?
広告には“在庫”という概念があります。Applivのカテゴリーの多さと考えると、在庫の種類と量が肝心になってくる。ですから複数の広告代理店様を通じて、広告主様にApplivの媒体としての魅力を伝えることも大切な仕事ですね。
先取り発信と速攻レス、最速は自分のテーマ
――SPM事業部では、去年から機能ベースからプロジェクトベースでの組織体系に変わりましたよね。
はい、以前はコンテンツチーム、広告チーム、エンジニアチームと機能別に分かれていたのですが、課題解決に必要なメンバーが集まるプロジェクト型になりました。1つのプロジェクトの期間は3カ月。スタート時に設定されたOKR(Objection and Key Result:目標管理手法のひとつ。プロジェクトの目標を掲げ、その到達度を図る成果指標を設ける)達成に向けて逆算してアクションしていく感じです。
――今までと何がいちばん違いますか。
一番は仕事のスピード感ですね。体感的に5~10倍くらい上がったと感じます。今までだと、企画を立てました→誰に話をすればいいんだろう?→エンジニアチームか→でもエンジニアさんは普段の仕事があるし…、と後回しになりがちだったんですよね。
でも今は目標から紐づけされたKey Resultが存在して、その達成に必要な人のリソースが揃った状態でスタートしているからコミュニケーションの障壁が無い。メンバーが見ている方向が揃っているから、優先順位も統制された感じがします。
――仕事の仕方も変わりましたか。
事業部長の高階から新しい組織体系とテーマである「全員企画・全員自走」の説明を聞いた時、カギは「最速」だと自分なりに解釈しました。だから最初のプロジェクトが決まったその日のうちに、「この目標でこのメンバーだったら、こんな議題が上がるだろうな、私に求められることはこうだろうな」と考えて、先取りで資料をつくって共有しました。
私は役職的にはリーダーではないですけど、「OKRについて、こんなこと考えています」って発信すると周りも意見を出しやすくなるし、「ああ、そういうことか!」とやることの輪郭がはっきりしてくる。ユニットが最速で動く雰囲気はつくれたかなと思っています。
スピードは自分のテーマでもあるんです。入社してまだ2年経たないので、仕事の“質”だけで勝負することは難しい。では質を上げるにはどうするかというと、“量”をこなし経験を積んでいくしかない。じゃあ量をこなすために今自分ができることはというと、“スピード”なんですよ。だから依頼があれば速攻でレスポンスする、自分からアウトプットするってことを意識し続けてきました。周りからは「速すぎー!!」って言われるけど、それがモチベーションにもなっているところもあります(笑)。
“いいコンテンツ”だけじゃ続けられない
――そういえば、大内さんはゲーマーだったんですよね。
そうですね、3歳からゲームにのめり込んでいますから(笑)。でもゲームクリエイターになることはほとんど考えたことがなくて、最初は飲食業界に就職したんです。でも「ゲームに近いところで働きたい」って思うようになって、ゲームの制作会社やモバイルコンテンツの企画会社に勤めていました。
前の会社にいた頃、同僚がゲームの企画を担当することになったんです。ところが彼はゲームをしないから、ゲーム好きな自分が中身やしかけの部分を考えるサポートをしていました。ゲームには私のアイデアも結構盛り込まれて、周りも「面白い」「これはいける」と思ってくれるものができました。でもリリース後にマネタイズが伸びず、早々にクローズを余儀なくされました。
――それは悔しいですね。
ええ。何がいけなかったのかと振り返ると、広告設計が甘かったことに尽きるんです。社内に広告のノウハウを持っている人間が一人もいなかったために、集客や課金がうまくいかずクローズしてしまった。そこから私の人生の目的が変わりました。良質なコンテンツが愛され長く続けるための広告の知識が欲しいって。それが今につながっています。
――そうだったんですね。でも今のお仕事って、ちょっとゲームみたいですよね。
まさに(笑)。3カ月スパンでクエストに挑む感じですね。OKRという名のボスを倒すためにパーティが組まれて、時に臨時のクエストが発生して討伐するみたいな(笑)。自分は魔法使いを演じるべきなのか、ムードメーカーの遊び人がいいのか、パーティによって立ち位置を変える楽しみもありますね。
“快適なスマホアプリ探しの旅”を届けたい
――今後の抱負を教えてください。
ひとつは仕事のフォーカスを、“量”だけでなく“質”にも向けていきたい。企画も立ち居振る舞いも、アウトプットの質を高めていく。とはいってもゼロから生み出す仕事では、量があって質を担保できるものです。だから量を減らすつもりはまったくないです。視野狭窄にならず、いい塩梅で質を問うことができればと思っています。もうひとつはApplivのユーザー体験の向上ですね。Applivって海外旅行に例えると、飛行機だと思っていて。
――え、飛行機ですか?
例えばイタリア旅行のメインは、“イタリアでの体験”じゃないですか。ふつうは機内の体験がイタリアでの体験を上回ることは、余程のことがない限りあり得ないんです。だけど“快適な空の旅”が旅行全体の体験を底上げすることも確かで、Applivは“快適なスマホアプリ探しの体験”を提供することでユーザーを満足させることができるはずです。
――なるほど。
ただ現状のApplivはどうかというと、まだまだ課題はたくさんあります。「アプリ検索といえばAppliv」という存在になるには、AppleやAndroidの公式ストア以上に圧倒的に信頼性の高い情報を、質と量の両方の側面からカバーしていく必要がある。今のところ事業部ではユーザー認知度を高めるほうへ視点がいきがちだけど、それは危険だなって思っているんです。だから広告の枠に留まらずにAppliv自体のブラッシュアップを図っていきたい。
実はつい先ほども、情報の精度をより高めていくための提案を関係する人に提案して来たんです。そうしたら「やりましょう!」と。プロジェクトとは別に動くことになりました。
――Applivでのユーザー体験を、より満足度の高いものにしていこうと。
そうですね。といってもユーザー体験の充実は、Applivの先にあるダウンロードしたアプリの満足度にかかっているので難しいところですが。でもムリゲーだからこそ、攻略しようと燃えてきます(笑)。
スマートフォンメディア事業部では、Applivブランドを一緒に創ってくれるメンバーを募集しています!
アプリマーケター、広告ディレクター、エンジニア、デザイナーなど絶賛募集中です。「全員企画・全員自走」というコンセプトのもと、一人ひとりが自発的に考え、行動できる組織づくりに興味がある方はぜひお話しましょう。
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※本記事は2019年2月12日に公開しており、記載情報は現在と異なる場合がございます。
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