給与と評価のリアルな話
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組織
ナイル株式会社 取締役 土居と申します( twitter / note )。前回は1on1の記事を書きそこそこ好評でしたが、今回はより踏み込んだ給与とかの話を。
さて、組織を作る上で、給与や評価に関わる話は議論がつきません。正解がなにかもよくわかりません。が、「ベストかどうかはわからんが、今は自分たちにはこういうのがいい」ということについて、特に経営者や評価責任者の間で合意形成しておくことは大切です。
そういう意味で、昨年から今年に至るまで相当に給与や評価に関わることについて経営会議などにおいても相当にディスカッションを重ねてきており、少なくとも「いくつか共通した論点をもとにその妥当性を議論できる」状態はつくれています。
ということで、この記事では箇条書きでその要点をひたすら並べていきます。参考になりそうなことがあったら是非拾ってください。
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目次
何に基づいて給与を決めるのか
- 大きくは 能力×行動姿勢 で評価、としている
- そのこころは「今後その人に期待できる役割」のレベルの高さや守備範囲の広さ
任される仕事の質が上がれば給与は上がる、その逆も然り
- 能力高い人が行動姿勢がめちゃ良くなれば任される仕事の質上がる、給与もあがる
- いい姿勢で働いてる人がめちゃ能力上がったら任される仕事の質上がる、給与もあがる
- いつもと同じ仕事をいつもどおりやってる、では給与上がらない(上げる理由がない)
- その人なら普通にできるはず、の水準を下回るなら以降の期待も下がるので給与も下げる
能力、姿勢、片方だけではだめ
- 行動姿勢は最高だけど仕事で全然活躍できない、という人を評価してはダメ
- そういう人はもったいないので配置転換とか部署異動とかを検討する
- 能力高いけど行動姿勢は激悪、なら評価どころか今すぐ辞めて良し
- 姿勢の評価は「組織の行動指針に対して」を軸として事実から判断。好き嫌いや評価者の主観、印象評価はダメ
成果はインセンティブで還元
- 「今後期待される役割」の上下によらず、成果は成果として評価・還元
- 「めちゃ売上もってきた」「めちゃ採用に貢献した」のような話
- 「その人にとって」特別高い成果かどうかを見る。給与高い人が高い成果出すのは普通
- もちろん「特別高い成果」=「成長の裏付けとなる実績としての成果」の場合は給与も上げてインセンティブも出す
- 対象は一部の人のみ。金額は内容や規模、業績によって数万~百万規模まで
残業時間と評価
- 何時間残業したとかは正直どうでもいい、お好きにどうぞ
- 所定労働時間(うちはフレックス)を下回ったら勤怠控除
- 36協定で決められた上限はルールとして守れ
- 上記の許容された範囲内で好きなだけやってください
- 評価でみるのは「前回の評価(または入社時)からあなたは何がどう変わりましたか」「どれだけ成果出しましたか」だけ
結果出てないのにリカバリや改善の努力しない人は評価下がるだけ
- 仕事も全然終わってないのに「じゃ、定時なんで帰りまーす」みたいなのをいちいち咎めない、やる気と責任感のない人に仕事してもらうマネジメントはコスパ激悪
- 結果も出てなくリカバリの努力もなく改善指示しても変わらないなら「評価下げて給与下げて仕事の内容変える」で対応
- ただし「そういう人を採用しないために全力を尽くす」というスタンス
- その人がどう頑張っても求められた結果出せない(またはその逆、チャレンジを要せず軽々と達成できる)、なら役割や目標や給与など、何かが間違っていると考えて何らか変更を検討
社内の相対評価
- もっとも時間をかけて吟味する、最重視ポイント
- 半期査定のキャリブレーションは部署長&役員全員で数日がかり
- 部署差、評価者差、入社時期差など本来あるべきでないブレをなくすための吟味
- 給与非公開でも「あいつこれくらいもらってるらしいよ」は当然ある想定
- それでも「は?ナニソレやってらんね」のリアクションがなくなることが理想
- ただし相対評価は絶対評価以上に人間が気にすることなので余計な情報は出さない
- 中途採用のオファーで無理な提示すると、この議論が破綻するのでやらない
給与水準、市場相場
- 給与水準、平均年収、みたいなものは結果論なので基本はスルー
- 採用したい人材が採用できる必要十分な給与水準に至っているかは重視
- ただし他社は他社、うちはうち。Googleと比べられても「知らんがな」
- 現状、採用競合比較では低くはないけど特別高くもないくらいの水準
採用のオファー額と既存社員の給与問題
- 「うちで仕事した実績があるかないか」の違い
- 既存社員は「実績に基づいた今後の期待値」なのである程度クリア
- 採用時は「選考で得られた情報で判断する期待値」なのでそこそこ不透明
- 年収上げてほしいと言われたらそのぶん要求水準あげてオファーするが、その要求をクリアできるかの選考判断でNGならその金額ではオファーしない
- オファー額は現時点スキル評価と環境適応後に期待できる役割をベースとして社長含む全役員の承認のもと決定
試用期間
- 「最後は入社してみないとわからない」部分の双方の見極めのラストチャンス
- どちらかが無理して合わせる、の先には不幸しかない、何となく進めない
- オファー時に「これができれば試用期間条件クリア」の基準を明示、合意を得る
- なおオファー時で年収と要求水準を実際のポテンシャル以上に上げすぎるとここで見直しの確率めっぽう上がる(のでやっぱりやらない)
…のような感じです。生々しいけど大丈夫?と思う方もいるかもしれませんが、普通に社員や採用候補者向けにも共有・公開している内容がほとんどのためたぶん大丈夫です。
評価や給与、その周辺の基本的な考え方であってこれをあらゆる職種で公平に評価できているのか?技能評価などは適切なのか?など、終わりのない継続課題だと捉えています。
答えがあるならぜひ教えていただきたい、の世界なのですが、たぶんそんなものはどこにもなく、ひきつづき自分たちなりに粘り強く思考&施行していこうと思います。
ご意見、ご感想などあればぜひTwitterなどでコメントいただければ。
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※本記事は2019年12月11日に公開しており、記載情報は現在と異なる場合がございます。