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【ナイルの組織】中途入社や社内異動メンバーの人事評価、給与水準の考え方

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前回の記事では、ナイルの基本的な人事評価制度や給与査定の考え方について紹介しました。続く今回は、中途入社の社員や社内異動における人事評価についての考え方を、ナイルの取締役・人事本部長である土居健太郎がお話します。

▼前回の記事はこちら

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【ナイルの組織】人事評価制度と給与の考え方を完全公開

中途採用オファー時の給与査定

既存社員の人事評価は、現在の期待値や過去の実績を基準にミッションや給与を考えます。しかし、中途採用の場合は社内での実績が一切ない状態で、採用オファー時に給与を提示する必要があります。

本当にその提示額に見合うパフォーマンスが発揮できるかどうかわからない中で給与を決定するのに、「これくらいの給与がなければ転職検討しづらい」という事情も考慮することになります。これが大きな違いです。

とはいえ、人事評価の基本的な考え方は変わりません。任せるミッションと給与水準がセットになるように検討していくしかないのです。

中途入社の方のミッションを定めるために、経歴書、ワークサンプルテスト(※)やSPIの結果、面接などさまざまな検討材料をもとに、大きくは以下のようなことを確認します。

  • これまでどんな仕事を任されてきて、どんな成果を出してきたのか
  • 当社の実務をどのレベルでこなせそうなのか
  • 何が得意で、何が苦手なのか
  • 何をやりたくて、何をやりたくないのか
  • この転職を通じてどんなことを実現したいのか

これらの材料を踏まえ、これくらいのミッションは任せても大丈夫だろう、これ以上をいきなり求めるのはたいへんだろう、などの判断を行った上で、そのミッションに給与を紐づける流れです。
それが希望給与と乖離している場合、ミッションをどこまで調整できるのか検討します。ミッションの上限が希望給与に追いつかないのであれば、私たちからはここまでが精いっぱいの提示になると、正直にお伝えすることになります。

※ワークサンプルテストについて紹介している記事はこちら
「お互いのミスマッチをゼロにしたい」ナイルが採用活動において大事にしていること

どれくらいのキャッチアップ期間が必要なのかを想定しておく

中途採用の場合は必ず「キャッチアップ期間」が発生します。入社してから新しい環境に適応し、その人本来のバリューを発揮できるまでの期間、言いかえればその人が持つバリューを発揮しきれない期間です。

この期間は短いに越したことはないのですが、よほどの条件がそろわない限り、中途社員が本当の意味での「即戦力」になることはありません。この期間を許容できないとするほど、「これらの条件をすべて満たす人以外は採用できない」というような窮屈なものになります。

よって中途採用では、キャッチアップ期間中に達してほしいラインをミッションとして提示し、その期間は年収相応の仕事ができないことを見込んだ上で提示額を支払います
そして、試用期間が終わった時点でどこまでできたかの答え合わせをし、ミッションと提示額との整合性をとっていくのが一連の流れです。

社内異動の際の人事評価

異動が中途採用と決定的に違うのは、これまでの仕事ぶりや内容、実績、人となりといったところがすでにわかっていること。いわゆる期待値や信用といったものが、社内で積み上げられている状態です。ただし、新しい部署、新しい仕事に対してキャッチアップ期間が生じるのは中途採用と同じ

そのため、異動の際も一定期間はパフォーマンスが低下することを見込んで、中途採用における入社後ミッションと同様に異動後のミッションを提示。その期間内に期待どおりのパフォーマンスが出せている状態を目指します。
そして新しい部署において、それまで通り、もしくはそれ以上のバリューが発揮できるようになっていたら、再び昇給することになります。

<参考記事>
社員の異動希望を1年以内に100%叶える!人事制度「フミダス」誕生の背景とは?

古参社員と中途入社の社員の給与バランスは定期的に見直す

問題になりやすいのが、古参社員と中途入社の社員の給与の格差です。創業期から長く活躍して会社を支えている人よりも、最近入社してきて、まだ独り立ちしていない人のほうが謎に給与が高い、みたいな場合ですね。

これは、会社の成長に給与水準が追い付いていないことによって起こる現象といえます。
例えば、売上を月150万円立てられる営業マンの年収がこれまで480万円だったとしましょう。同じだけ売り上げを立てられる人を中途で採用して、彼らの年収が550万、600万円だった場合、古参の営業マンは本来より低い水準の給与で仕事をしていたことになります。
そのため、大胆な昇給査定をすることを恐れずに給与をぐっと上げていかないと、新たに採用した社員との格差が広がって、古参社員の意欲を削ぐことになりかねません。

そこでナイルでは、採用市場の給与相場と社内の給与相場にネガティブな乖離が発生していないかを常にウォッチし、新入社員と既存社員のバランスが崩れそうな場合には、積極的な昇給査定なども行っています
これから先、さらに多くの人材をさまざまなポジションで採用していくと、こうした機会がますます増えていくだろうと思っています。

給与水準は相場と同じか、そのちょっと上くらいがちょうどいい

最後に、給与水準について少し付け加えておきましょう。給与水準は相場と同等か、そのちょっと上くらいがちょうどいい、というのが私の持論です。

潤沢に資金がある会社なら、どんどん採用して、採用した人が辞めにくい会社にするために他社の1.5倍の給与を支払うことができたりするでしょう。しかし、これが必ずしも良い結果を生むとは思えません。

例えば、給料だけがやけに高い会社があったとします。社員個々の生産性が非常に高いわけでも、誰もが高い営業成績を叩き出せるしくみがあるわけでもない…にもかかわらず、ただ給料だけが高い場合、何が起こると思いますか。
まったく活躍していなくて、あまりやる気もない社員が出てきたときに、うまく新陳代謝が働かなくなるんです。一定頻度で活躍できない人は出てきてしまうものなのですが、転職すると今より給与が下がってしまうから、という理由だけで、モチベーションは低いのに転職しない。

要は、普通だったら「活躍できないから転職します」「仕事に対してモチベーションが下がったので転職します」となるはずの人がいつまでも社内にい続けることによって、パフォーマンスが低くて意欲のない社員がたくさん滞留し、組織の士気が下がります。その結果、「給料下げてでももっとまともな会社に」という理由で、ガッツがあって優秀な人たちから抜けていってしまう悪循環が生まれるわけです。

よって、採用のために相場を無視して給与水準を引き上げたくなる気持ちをグッと我慢し、市場に合わせた給与設定で給与水準を作っておくほうが組織の健全性を保つことができると思っています。

適切な評価をするには、継続的な取り組みが必要

今回は、中途入社社員の人事評価や給与のことを中心にお話しました。
人事評価制度とは、突き詰めれば「どういう人を厚遇するか」という話であり、さらにいえば「どんな組織を作りたいのか」という願いが具現化されたものでなければならないと思っています。
人事評価の運用に終わりはなく、これからも試行錯誤を繰り返しながら、そのときにおけるベストを追求していきます。
少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

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※本記事は2021年10月22日に公開しており、記載情報は現在と異なる場合がございます。