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立ち位置は経営のパートナー。「困った」に寄り添い「働きやすさ」を作る労務のリアル

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一般的に「労務」というと、給与計算や勤怠管理、社会保険の手続きなど、作業的で画一的な仕事をミスなくこなすことが求められるイメージを持つ人が多いでしょう。しかし、それは労務の基本であり、ほんの一部に過ぎません。

ナイルの労務は、基本的な業務に加えて、労働法規の知見を活かし、経営者に近い視座でオーナーシップをもって社員が働きやすい環境づくりを行っていく、”攻め”のスタンスを大切にしています。
「会社を労務の観点から良くしていく」というメッセージに胸を撃ち抜かれて入社を決めたと話す髙野麻友子に、入社後の取り組みや展望を聞きました。

人事本部 労務
髙野麻友子(たかの まゆこ)

大学卒業後、インテリアコーディネーター、人材系企業2社での採用事務を経験後、前職のIT企業に入社し、12年半にわたって人事業務全般と総務の一部を担当。2022年、ナイルに中途入社。キッズケア休暇やパートナーシップ支援制度などの新たな人事制度を策定。法令遵守や安全衛生面でのセーフティネットでありつつも、組織や事業成長とバランスをとりながら、誰もが心身ともに健康で熱量高く仕事ができる仕組みをつくるべく、攻めの労務を展開中。

「なんでも屋」から、得意分野の労務を極めるためにナイルへ

――社会人になった当時は、インテリアコーディネーターだったんですね!

そうですね、大学の建築学科を卒業して、インテリアコーディネーターとしてキャリアをスタートしました。
でも、当時の建築業界は労働環境的にも、雰囲気的にも、あまり女性が長く働ける場所ではありませんでした。
キャリアの新しい方向性を探す中で、候補者として自身が登録していた縁もあって、人材紹介アシスタントとして転職したんです。その後、別の会社で採用代行業務にも携わりました。

――社労士の資格を取得されたのも、その頃ですか?

人材紹介アシスタント時代の同僚が社労士の資格を取って人事部に異動したのを見て興味を持って、社労士の勉強を始めたんですが、採用代行の仕事をするようになってからもなかなか合格できなくて、リーマンショックの煽りを受けてやむなく退職しました。

――やっぱり難しい試験なんですね…。

そうなんです。でも、せっかくなら一企業の人事へステップアップしたいと思って、人事未経験でも採用してくれる会社を探してたどり着いたのが前職のIT企業でした。
2年目には社労士試験にも合格できたので、その後の業務に活かせて良かったです。

髙野麻友子

――前職ではどのような業務をされていたんですか。

労務、採用、評価、教育といった人事全般に加えて、総務も一部担当していました。
給与計算をしながら新卒・中途の採用に対応して、評価制度も回し、新入社員研修やインターンシップ受け入れも担当し、またある時には備品を発注して、来客があればお通ししてお茶を出すというような…いわゆる「なんでも屋」さんですね(笑)。

――そこから、領域を労務に絞って転職しようと思われたのはなぜでしょう。

前職には12年半在籍していましたが、在籍期間が10年を超えて、年齢的にも40歳を越えた頃、ふと「自分の得意分野って何だろう」と立ち止まってしまったんです。
仕事の幅が広がったのはありがたかったのですが、あれこれ幅広く手掛けすぎて、専門性が見えなくなっていたというか。

それで、何かひとつ、自分の専門といえる分野を極めるために、強みである労務を伸ばしたいと考えました。

ほかと一線を画すナイルの求人情報に心を動かされた

――そこでナイルに転職を決めた理由はどのようなものでしたか。

一般的な労務の求人情報って、福利厚生、給与計算、雇用保険の手続き、健康診断の手配…といった感じで、業務内容が列挙されているんです。
ところが、ナイルの求人情報はほかと一線を画していて、「組織と事業成長とのバランスをとりながら、当社の労務環境の安定稼働・整備・向上をリードしてください」と書かれていたんです

具体例として記載のあった業務も「会社拡大を見据えた労務基盤の強化」「人事労務に関連する制度の立案および提案」といった感じで。

――会社の成長にコミットする業務だと感じられたんですね。

定型業務をミスなく円滑に回すのは当たり前だし、とても大事なことです。
一方で、そこをベースにして会社がやりたいことをどう実現できるか、経営陣といっしょに考えていくのが労務の神髄だと常々思っていたので、私がやりたいのはこれだ!と。

その直感を信じてすぐに応募し、ご縁をいただいて今に至ります。

――入社後はどのような動きをされましたか。

最初は、全マネージャーと面談して顔と名前を覚えてもらうことから取り掛かりました。
また、法改正対応やナイルならではの制度(キッズケア休暇/パートナーシップ支援制度)を新たに作るためもあって、入社月からほぼ毎月何かしらの規程改定案を出していましたね。

「困っている」「あったらいいな」に応える制度作りに次々と着手

――入社から半年ほどで、すでにさまざまな制度刷新に取り組まれたと聞いています。

オファーや入社関連書類の見直し、雇入時健康診断の受診フロー改定をはじめ、健康やメンタルヘルス、育児など社員の悩みについて、電話やメール、オンラインで相談できる外部相談窓口を設置するなど、大小さまざまな取り組みをしました。

中でも社員に直接的な影響が大きかったのは、パートナーシップ支援制度とキッズケア休暇でしょうか。

パートナーシップ支援制度では、男女間の婚姻を前提とした従来の福利厚生から、性別や法的な婚姻の有無を限定する要素を除外しました。事実婚や同性婚でも法律婚と同様に福利厚生が受けられるようにして、多様なパートナーシップの在り方を支援するものです。
これを機にLGBTQ+の人のことをもっと知ってもらうため、社内で全3回の研修を実施しました。

<髙野が提案した制度刷新>

  • オファー、入社関連書類の見直し
  • 雇入時健康診断の受診フロー改定
  • パートナーシップ支援制度
  • キッズケア休暇
  • 一般事業主行動計画の策定・公開
  • 社員の悩みに関する相談窓口の設置

――そもそも「子の看護休暇」というものはありましたが、なぜ「キッズケア休暇」として制定したのでしょう。

キッズケア休暇は、小学校卒業までのお子さんに対してケアが必要なときに取得できる、法定の「子の看護休暇」を独自にアップデートしたものです。

「子の看護休暇」は法令で定められた制度で、未就学児向け、無給扱い、加えて入社6ヵ月未満の方は対象外としてもいいことになっていて、これまでのナイルでもその通りの制度設計でした。
ただ、入社間もない社員のお子さんが体調を崩して、年齢的にも親の手による看護が必要になってしまう、ということがあったんです。

――その社員は入社したばかりなので、「子の看護休暇」を取得することができなかったんですね。

そうなんです。入社半年に満たない社員には、入社時特別休暇以外に充てられる有給休暇がないので、当初はその社員のために特別休暇を作ることを検討しました。
でも、せっかくなら全社的に制度化したほうが納得感もあっていいだろうと思ったんです。

そこで、「キッズケア休暇」として小学校卒業までのお子さんをケアするための、新入社員でも使える有給扱いの休暇へアップデートしました。

――困っている方がいた時点での改定なので、キッズケア休暇はかなり短期間で変更を実現しているのですね。

はい、これは経営陣の意思決定の早さに尽きますね。課題をキャッチアップして共有すると、即座に是非を判断してくれるので、あっという間にゴールにたどりつきます。

あとは、ナイルで働く人の性格も大きいかもしれません。みんな真面目で、とても素直。新しい取り組みや制度ができたり、古い仕組みが刷新されたりすることを、すんなりと、しかも前向きに受け止めてくれるので、浸透が早いです。

パートナーシップ支援制度の研修にも、「知る努力をしなければと思っていたが、個人ではここまでできず、とても勉強になった」とか、「自分自身がこの制度を利用する可能性が高く、聞けて良かった」といった感想をもらって、とてもうれしかったです。

詳細はこちらから
https://nyle.co.jp/recruit/benefits/

労務ポリシーを軸に、守りと攻めをバランス良く

――かなりアグレッシブに色々な変更に取り組んでいて、ナイルの労務も守りから攻めへとシフトチェンジしている印象です。労務ユニットのスタンスや方針があれば教えてください。

入社後に労務ユニット全員で、半日ほどオフサイトミーティングで話し合い、3つの労務ポリシーを策定しました。

<労務ポリシー>

  1. お互いの多様性をみとめ、自信をもって仕事に向き合える様にしよう
  2. 意義深い仕事をする為に、公も私も、全力で充実させよう
  3. 法令を大事にし、伸び伸びとコトに向き合おう

ポリシーには、守るものは守りながらも、組織や事業成長とのバランスをとりつつ、目の前の困っている人に全力で寄り添っていこうという思いが込められています。
こうした軸ができたおかげもあって、2022年の労務ユニットは守りと攻めのバランスが整ってきたように思います。

とはいえ、もっと進んでいる会社はたくさんあります。ナイルにはまだまだ伸びしろがあるので、ここからはさらに積極的に次のステージを目指していくつもりです。

――具体的には、どのようなことに取り組んでいく予定ですか。

労務に問われているのは、いかに社員のかゆい所に手が届く対応ができるか。あるいは、かゆくなってからの対症療法ではなく、黄色信号の段階で気付いて、症状を未然に防ぐための仕組みづくりをどう進めていくかだと思います。

従来の労務の基本である“守り”に加えて、組織や事業成長とバランスをとりながら、社員が心身ともに健康で熱量高く働ける仕組みを主体的に作っていく、“攻め”の部分をより重視して全力投球していきたいですね。

業務に全力で取り組む中でネックになっていること、全部は難しいですが、パパの育休、介護、看護、不妊治療、女性特有の困り事など幅広くあると思うので、それらと業務とのあいだでの悩みが強く顕在化する前に、形にして届けられたらいいなと思っています。

――いっそう働きやすい環境になりそうですね。

私はまだ入社から日が浅く、社内での認知度も低いと思うので、もっと知っていただく努力をしなければと思っています。
なので、全社アナウンスをする機会を今まで以上に増やしたり、部活動などにも顔を出したりしつつ、日頃からさまざまな部署の方と話をする機会を設けて、露出を増やしていきたいですね。
その結果、「労務関連で困ったら高野さんへ」と情報を持ってきてくれたり、気軽に相談しに来てくれたりする方が増えればうれしいです。

※本記事は2022年9月16日に公開しており、記載情報は現在と異なる場合がございます。